槍ヶ岳山荘・槍沢ロッヂ・南岳小屋・大天井ヒュッテ・岳沢小屋の5つの山荘のWEBサイトです

BLOG大天井ヒュッテの過去スタッフブログ

トップページ > スタッフブログ > 大天井ヒュッテの過去スタッフブログ > 7月28日 ストック使用に一言

7月28日 ストック使用に一言

今朝3時前に起床。月は雲に隠れ月明りのみ辺りを明るく照らし、幾つかの星も輝いていたため、今朝の皆既月食に数パーセントの期待を抱きながら牛首展望台には3名の観客が集まりました、期待は見事に裏切られ、満月は濃い雲の中に隠れたまま姿を現す事なく皆既月食の時間はあっという間に過ぎて行きました。

IMGP5735

満月があるはずの槍ヶ岳の上空はこれはこれで見応えありましたが・・・

昨日まで続いた快晴の日々の終わりが何故今朝なの?「モウ―」(>_<)

その後5時過ぎからは、台風12号の影響にて降り出した雨は終日続いています。

これは27日早朝の月が沈む槍ヶ岳です。

IMGP5640

こんな感じで皆既月食となる予定でした。

IMGP5690

27日3時32分の月入り。

今朝でしたら50分後の4時22分、日の出前の明るくなってきた頃のこんな月入りが見られたはず。あー残念!

そんな今日の話題は、

昨日消灯時間PM8時前にヒュッテに辿り着いた一人の登山者のお話から、ストックの使用について考えてみましょう。

その登山者、頭を数か所切り、身体中擦り傷にて、両足脛には鮮血がにじみ出て炎症も起こしていました。

止血し、洗い流し、消毒し、包帯を巻き、炎症部には氷で冷やし、とりあえずの措置は施して、どうやら骨に異常はなさそうで、今朝は痛いながらも「歩ける」という事で、自力で中房温泉へと下山して行きました。

その怪我の原因が、

ストックの使用方法の間違いによる事故でした。

今やウォーキングから登山まで幅広くストックが使われるようになりました。

姿勢の維持、バランスの維持、膝痛の軽減等々そのメリットはあるとは思いますが、あまりにも頼りすぎていませんか?

登山でも緩い斜面の登り下りには、それなりに有効とも思いますが、急勾配の登山道や岩場での利用に関しては非常に疑問があります。

今回の登山者の場合

喜作新道の大天井岳トラバースにて、ストックを使いながら岩場のトラバースを通行中に事故は起きました。

通常のようにストックを突いた場所が空振り、そのまま体重を預けたものですから崖下に2回転(?)して約5m程滑落したようです。

何とか自力でヒュッテまで辿り着けて傷の手当ても出来、それで済んで良かったのですが・・・

岩ばかりの狭いトラバース道でストック使いますか?

岩場や急登や急坂等では、ストックを使う事の方が危険です。その都度折り畳み、ザックに仕舞い両手をフリーの状態にて通行する事が重要です。

ストックを使用している登山者の皆さん、その使用法をもう一度認識し、岩場の登山道や狭いトラバース、急登や急勾配の登山道に差し掛かった時に、面倒くさがらずにストックはザックに仕舞いましょう。

そんな場所では、ストックに頼るより自分の手に頼りましょう。その方が安全です。

もう一つ、近隣の山で日常的にストック無しにて身体のバランス感覚を身に付けておく事が重要です。

ストックの頼り過ぎは人間本来の持っているバランス感覚を失うとも思います。

皆さんもご一考下さい。