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5月28日、岳沢ガテン日誌

人が歩けばそれが道になる

好きな言葉ですが、物理的には間違っているかもしれません。

獣が跋扈する道ならともかく、地図に記されるような不特定多数の人間が通る道には、先人たちの血の滲むような努力によって開拓され、整備された歴史があるはずです。

そして弛まない維持管理もまた必要不可欠であり、今日の内容もそれに終始します。

 

現在、我がグループ唯一の女子率0%の岳沢では、女性的な華が無いというか、人間関係における清涼剤的な存在が皆無なため、粗野な男社会が形成されています。

しかしながら肉体労働力には事欠かず、連日つなぎを着た男がウロウロし、外作業に従事(というかそれしかない)しています。

今日駆り出されたのは岳沢トレイルの半ばに掛けられた橋の修繕でした。

下から若い順に選抜された3人が、物々しい資材を手に送り込まれ、朽ちかけの橋を以前の3倍くらいの強度にしてきました。

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まず現場に着き、状況を確認。

まだ騙し騙し使えば、なんとかなりそうだが、何かあっても遅いし責任もとれないってコトで、この際バッチリ直すことにする。

 

よほどの規模でない限り、登山道整備の基本は現地調達である。

準備のいい先輩曰く、既に良いモノを見繕ってあるらしく、案内された先にあったのはダケカンバの倒木でした。

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『生きてる木は絶対切らねえ』

そんな先輩栗原の熱いポリシーに則り、倒木しか使いません。

大自然の中に人間が入り込み、あまつさえ拠点を作り居座っているというか、間借りしている以上、道くらいは大いに地産地消でいきたいですよね。

枝を切り払い、必死の思いで登山道まで引きずりあげ

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また現場まで引きずる。

目の詰まった生木のダケカンバは想像を超えて重い。

重機も道具もない、紀元前レベルの原始的な作業に難儀する

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あまりの過酷さに、きたことを後悔し始める作業員。

無論、不参加という選択肢は無かったのだが(笑)

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試しに並べてみる。

やはり全部バラして並べ替え、生きているところを利用するしかない。

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必ずと言っていいほど出る丸太同士のゆがみは片っ端から番線でキメて修正。

人間性と違い多少、ゆがんでいた方が剛性が増す。

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下部の柱も交換しひとまず完成。

新たに据えたダケカンバの倒木は打ち込むカスガイをはじくほどに硬かった。

やはり寒冷地の厳しい環境で育った樹木は良質な材となるのは本当なんですね。

まったく身につまされる話ですよ

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完成を祝し、試しにジャンプ(笑)

相撲取りでも空から降ってこない限り大丈夫(多分)。

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最後に休憩中の一コマ。

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寝ている栗原氏に、畏れ多くもコガラが寄ってきました。

よほど空腹だったのか、この後耳をつままれてました(笑)

このハプニングに、鬼の副長も思わず笑顔に。

人馴れしているのか、していないのか、いずれにせよ好奇心旺盛な可愛いヤツでした。

 

というわけで血と汗と涙と、ちょっぴり笑いアリの、むっさい登山道整備でした。

 

栗原『明日もやんぞコラ』

 

ハヒィー!以上、肥沼でした。

 

腰いてぇ・・