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6月26日、夏山相談

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月曜・火曜と好天に恵まれ、小屋入り後の外回りの作業も進みました。現在、小屋には水がほとんどない状態ですので、明日からの雨に期待したいところです。

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さて、この週末は名古屋で開催された「夏山フェスタ」で山小屋相談コーナーに座り、登山相談を受けたり、パンフレットを配ったりしていました。その中で多かった3つの質問をフィードバックしたいと思います。なお、相談内容はほとんどが「槍ヶ岳」に関するもので、南岳小屋にはあまり関連がありません、あしからず…

その前に、会場では「高いところに移ったんですね」、「遠いところに行っちゃたんですね」と多くの方にお声がけいただきました。しがないいちサラリーマンの異動情報を気に留めていただき、ありがとうございました。

さて、

①いちばん多かった質問は「槍ヶ岳に行くにはどういうルート(日程)で行くのがいいですか?」というもの。

多くのガイドブックや雑誌にモデルコースにも紹介されている通り、初めて槍ヶ岳に登るという方は「上高地から入山し、横尾山荘か槍沢ロッヂに一泊し、二日目に槍ヶ岳山荘に泊まり、3日目に一気に下山」という二泊三日の計画がもっとも一般的です。

単純にコースタイムだけを見れば、上高地から一気に槍ヶ岳山荘までというプランも不可能ではありませんが、「初めて」という方は無理をせずに途中で一泊を挟むほうが賢明でしょう。そのうえで、槍の登山道の様子もわかり、体力にも余裕がありそうなら二回目以降は一泊二日の日程にチャレンジされるのも良いかと思います。

また、上高地から入るか、新穂高温泉から入るかというのも話題になりましたが、上高地は標高が1500m、新穂高温泉は1100m。槍ヶ岳山荘までの標高差でいうと、上高地が1600m、新穂高温泉が2000m。体力的に考えても上高地側のほうが楽そうですね。また、途中に山小屋もたくさんあるので、初めての槍ヶ岳への不安がある方には心強いかと思います。

一方で下山ルートは言うと、新穂高側のほうが距離が3割ほど短く、上高地側には横尾からの長い林道歩きもあるので、サクッと下るには新穂高側を選択するのもいいかもですね。

マイカー利用の方も平湯温泉(アカンダナ)に置いて上高地に入れば、帰りは新穂高温泉から高山行のバスが頻繁に出ていますので、それを利用すれば簡単に駐車場(平湯)に戻ることもできますし。東京方面へお帰りの方も平湯温泉からなら、松本行のバスや新宿行の高速バスも意外にたくさんありますよ。

②次に多かったのは槍ヶ岳って小屋も山頂も混みますよね!!というもの。

これはかなりの誤解を持った方が多かったようで、槍の穂先の往復に3時間もかかるような大渋滞だとか、山荘も布団一枚に二人!!などという大混雑は一年に一回あるかないか程度です。

今年の場合、そんな恐れがあるとしたら、山の日から始まるお盆休みの二日目の8月12日。それと秋の3連休の9月16日くらいでしょうか。平日はもちろん、週末も普通の土日であれば、それほど混むことはありませんのでご安心ください。上記の2日を外せば、おそらく大丈夫だと思います。

③これはやはり皆さん気になるようで、「今年の残雪の様子はどうですか?」と。

今年は春の段階では雪が少なめで、今年の夏は早めに雪も消えるだろうと読んでましたが、今年は梅雨に入ってからの雨量が極端に少なくて雪解けが進んでいません。また、今年は海の日の3連休が少し早めの7月14日から始まるのも気になります。少なくとも現段階ではまだまだ槍沢も飛騨沢も涸沢も氷河公園も南沢(南岳新道)も残雪たっぷりの状態です。あとは今後の雨の降り方次第ということになります。

7月20日以降に登山を計画の方であれば、多少の残雪があったとしても、歩行のうえで危険を感じるという雪の残り方はしないと思うので安心していただいて大丈夫だと思いますが、海の日の連休にご計画の方は今後の各山小屋から発信される情報を参考にしてください。(電話での問い合わせも多いのですが、写真付きで説明してくれるブログなどのほうが参考になると思いますよ)

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今の南岳の周りの沢の雪渓はこんな状態です

また仮に残雪が多くて「まだ、アイゼンが必要です」というアナウンスになった場合、4本爪の軽アイゼンでもいいか?という相談も多かったですね。

今回はたまたまお隣が「白馬館(白馬山荘」さんでして、あちらは白馬大雪渓を抱えて、より残雪に関する質問の多い小屋だったのですが、我々の共通認識として、「4本爪の軽アイゼンはお守りに過ぎない」ということです。

皆さんも神社などで買ったり、もらったりする「お守り」。あれが本当にあなたを守ってくれるのかというと少々疑問がありますよね。無いよりはマシかもしれませんが、無いのとあまりかわりない、それが4本爪の軽アイゼンです。

本当に雪渓の上でスリップ防止のためにアイゼンを装着するなら、やはり6本爪のアイゼンが欲しいところです。(12本爪を持って来い、とまでは言いません)

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軽アイゼンはあくまでも滑り止め。雪渓を安定して歩くには雪面をしっかりと噛んでくれる6本爪をおすすめいたします。

以上、文章ばかりで失礼いたしましたが、最後まで読んでいただいた方はありがとうございました!!