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10月21日、前穂高岳の雪の状況

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ここ数日、雪の降りやすい天気が続いていましたが、ようやく朝から安定した天気となり、前穂高岳まで雪の状態の確認に行ってきました。

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岳沢小屋の周辺はこんな感じでしたが
今日の日差しでほぼ解け去っています
明日以降の心配はないでしょう

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しばらく登って
標高2600m付近
カモシカの立場~岳沢パノラマ間
ではこんな感じ

岩場に雪が積もっていましたが
ここもほぼ消え去りました
ただ、明日以降も凍結に注意が必要です

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標高2900m
紀美子平直下の鎖場

イヤな感じで雪がありましたが、
こちらもほぼ消えたはず
ただ、明日以降は凍結への注意が必要です

そして、紀美子平から上は一気に雪が増えました。

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また、日当たりの悪い斜面も多く、紀美子平から先はしばらく雪が残りそうです。

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今日は我々も含め、前穂まで登った登山者のほとんどはアイゼンを使用していません。

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アイゼンを使ってはいませんが、当然携行はしています。

今日の時点ではサラサラと乾いた雪で比較的滑りにくい雪でしたので使わなかっただけです。明日以降は一旦溶けた雪がまた凍ったりして非常に滑りやすい箇所も出てくるでしょう。

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この時期になると「雪はどれくらい積もったか?」、「アイゼンは必要か?」と言った問い合わせが増えてきます。そこは槍ヶ岳山荘のブログでも苦言を呈していますが、そこの判断を人に委ねるような人はもうこの時期の槍穂には来ない方がいいですね。

ちなみに私は岳沢小屋のスタッフではありません(関係者ではあります)

この週末は任期を終えた女子バイトのお疲れ会を開くために刺身を背負って登り、昨夜は手巻き寿司パーティーを開きにやってきただけです。できれば天狗沢から西穂高~上高地へ下りたかったのですが、そっちは危険だろうと前穂往復に切り替えました。

週末までの数日は各地のライブカメラを丹念に見て降雪状況を確認したり、各小屋のブログなどで情報を集め、自分自身で判断して、前穂なら大丈夫だろうと登ってきました。それくらいの判断が自分でできないようではこの時期の穂高に登るのはちょっと厳しいでしょうね。

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今日もさっそく、雪の穂高で遭難事故があったようです。

詳細は承知しておりませんが、ヘリの動きを見る限り、2名ほどの登山者が昨日の午後からの吹雪で身動きが取れず救助要請をしたような感じでしたね。

また昨日の岳沢小屋では涸沢から穂高を越えてきた2名の登山者の到着が午後7時半。紀美子平からの下りだけでも5時間以上かかっていたようでした。聞くと、穂高を越えるのは初めてとのこと。この時期に夏すら歩いたことのない山、しかも奥穂~吊尾根~重太郎新道を越えようなんて…

昨日は午後からかなり激しい雪降りでしたから、なぜ途中で引き換えすという判断が出来なかったのか?

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月曜、火曜と安定した天気が続きそうですから、残り少ない穂高の登山シーズンを楽しんでいただくのは大いに結構なことですが、この時期の雪が積もった穂高に登れる力量のある人にだけ、安全に楽しんでいただければと思います。

 

追記:22日の新聞記事では奥穂の遭難では3名が救助され、うち一名が死亡(凍死)だったようです。どうやら、ロバの耳からの下降地点が雪で分からずに立往生、そのまま身動きがとれずに一晩低温にさらされた結果のようです。